おもちゃのキッチンです。
先日掲載しましたdesk&chair for kidsの机と高さを揃えてあるので、
並べると広く使えます。
住宅を設計している人間のサガで収納力も抜群です。
Data:
材質:さわら無垢(本体) ベイマツ(水栓) 桜(スイッチ)
シンク:ホワイトボール(野田ホーロー製)
仕上:自然ワックス塗り
カテゴリー別アーカイブ: 日記・エッセイ・コラム
宿泊体験
先週末、自分の設計した建物に宿泊させていただく機会を得ました。
美味しい料理をいただき、みんなでおしゃべりをして、
とっても楽しい時間でした。
自分の好きな有名建築を訪れて宿泊する機会はたくさんあって、
その時は感動や期待感いっぱいで目覚めるものです。
自分の設計した建物に泊るのはそれほど多くありません。
ひとりになって布団で横になると、
設計時に考えたことや反省点と満足感が頭の中をグルグル駆け回っていました。
旅行の宿泊では感じたことのない、なんとも不思議な感覚です。
貴重な体験ができ、とても有意義な週末となりました。
ありがとうございます。
desk&chair for kids (new product)
木工作家デビュー
先日竣工した東郷町の家に伺いました。
奥様の仕事用の机をつくるのをお手伝いするために。
大工さんに切っておいてもらった無垢の板材に
ビスの位置を書いていきます。
穴を開けて行きます。
ビス止めしていきます。
ビスが見えないように栓をして、
サンドペーパーをかけて、
出来上がり。
時間にして3時間ほどでしょうか。
長さ2.4mもある無垢材のテーブルです。
簡単な工具を用意すれば綺麗な無垢のテーブルも簡単に作れます。
これで木工に興味を持って、今後もいろんなものを作っていかれることでしょう。
次は木の塀に挑戦されます。
ラベンダー
泉町の家
「泉町の家」に遊びに行ってきました。
この家では時間がゆったり流れるような気がします。
奥さんから言われました。
お客さんが集まると「居心地が良い」ということで、
用事が終わってもいつまでも帰られないそうです。
とてもうれしいことばです。
私たちも同じ感覚で、訪れるといつの間にか時間が過ぎてしまいます。
今日は節分でしたので、子供が豆まきまでして家中がマメだらけになってしまいました。
楽しい時間をありがとうございました。
設計の道具
私は図面を描く時CADを使います。
便利な機能がたくさんありますがおそらくその2割程度しか使っていないと思います。
設計する時一番多く使う道具は鉛筆とスケッチブックです。
いわゆるローテクですが、これが一番です。
スケッチブックのメーカー・紙もお気に入りがあります。
設計の取りかかりは落書きのようなものです。
思いついたことをササっと短時間で適当に描きます。
コンピュータにはこの感覚のあるものはありません。
このようなやり方で何案も何案も考えます。
ある程度アイデアが煮詰まってくると
ディテールを描いたり、丁寧にパースを描き込んで細部を検討します。
時間をかけて絵を描くことで自分の思考をしっかり検証出来ます。
質感もそれなりにイメージできます。
私にとってこの過程は模型よりも重要な意味があるような気がします。
打合せ初期段階には、そのスケッチで打合せをすることが多いです。
そして何よりもページをめくると自分の思考過程が一目瞭然です。
ある程度経って振り返ると、
一番最初に考えていたことが良かったなんてこともしばしばです。
設計するということ
仏教の中の意識作用として八識(九識・十識の場合も)というものがあるそうです。
眼識、耳識、鼻識、舌識、身識、意識、末那(まな)識、阿頼耶(あらや)識の8種だそうです。
このうち最初の5つは五感に近いもので、その次の「意識」は頭の中に今あることだそうです。
ここまでは文字から理解できますが、最後の二つは見慣れない言葉です。
ここで書きたいのは「末那識」についてです。
とある僧侶の説明では
末那識とは頭の中にあるのですが、今は意識されていないもので
日常生活の中でふとした時に気づくもの。
なのだそうです。
これを聞いた時、設計と同じだなと思いました。
新しいものを設計をする時、すぐに良いプランが描けるわけではありません。
すぐに描けるものは深みのないものがほとんどです。
設計に取りかかる時、まずは色々な条件や制約を頭の中に入れます。
敷地、建て主の要望、建て主との雰囲気、予算・・・。
そこからスケッチブックにいろんなことを描きます。
最初は手探り状態で、何日も何日も良い案が出てこないことがほとんどです。
それが、日常生活の中でふと
「こんな風にしたらどうだろうか」
と映像が浮かんでくることがあります。
それをスケッチブックに描いてみると、以前よりもずっと良い案であることが多いのです。
その過程はまさに自分の気付いていない潜在意識を呼び起こす作業なのだと思います。
それが末那識ではないかと思います。
設計とは末那識を呼び起こす作業なのだと思いました。
そして、その提案に対して
「想像していなかった案だけど、良い案ですね」
といわれることが良くあります。
建て主さんの持つ潜在意識を顕在化させられるのは嬉しい限りです。
個性
「個性を大切に」とか「個性を尊重」とかいうことを良く耳にする。
いろんなレベルの個性があると思いますが、明らかに人と違うことだけではないと思います。
日本舞踊の名取さんと話していた時のことです。
踊りは伝統的なもので型が決まっている。
でも踊り手によって全然表現方法が違うのだとか。
好みも人それぞれなのだそうです。
素人である私に区別がつくかどうか微妙なところだと思います。
でも見る人が見れば、同じ演目であっても明らかに違うものになるのだそうです。
日本の伝統芸能はそういう部分が多いのではないでしょうか。
建築も同じようなことが言えるのではないでしょうか。
派手な形や色を使って個性を主張しているのだという建築。
珍しい形や奇抜なものを求めるのではなく、
敷地や機能を熟考して機能を考える。
目的が満たされるのであれば、形はありふれたものでも良い。
その上で空間の高さや開口の大きさを検討する。
それを積み重ねるうちに個性のある設計が出来るのだと思います。