月別アーカイブ: 2003年5月

ミツロウ

 先日完成したテーブルにもう一度ミツロウを塗りました。完成した時にも塗ったんだけれど、まだ膜が出来ていないのですぐにカサカサ肌になってしまうのです。本当は米ぬかの入った袋で毎日こつこつと磨くとすごく堅牢な膜が出来る(床や柱も効果的です)んだけれど、毎日こつこつとということの苦手な僕はついつい忘れてしまいます。だから気づいたときにこうして一気にミツロウを塗ります。だから最初のうちは頻繁に塗ります。全体に薄く塗ると、ほんの少し色が濃くなってしっとりとした感じになり、再び水をはじくようになります。そのうちにしっかりとした膜が出来るので塗る頻度も減らすことが出来るようになります。

でも天然のワックスですので永久に持つわけではなく、少なくとも半年に一度は塗らないといけないでしょう。家具を手入れすると生き返った様になります。それがすごく嬉しくて楽しいんです。住宅も一緒で、天然素材でできたものは手入れをしなければどんどん痛みます。でもこまめに、手入れをすればどんどんいい「アジ」が出てきますし、愛着もわきます。手間はかかるけど楽しみでもあります。出来上がった時が最も綺麗にみえる新建材ではこの楽しみは絶対に味わえません。皆さん本物の材料で本物の家を造りましょう。

「こだわり」のコーヒーと建築

 先日完成したばかりのテーブルでこだわりのコーヒーを飲む。これぞ至福の時です。

 嫌煙家である僕は、休憩の時や設計で納まりを考えるときにはいつもコーヒーを飲みます。コーヒーを飲むと頭がスッキリして良い発想が出きるような気がします。そんな僕はコーヒー豆にはこだわっています。自家焙煎の店「七福」のコーヒー豆でないと落ち着きません。以前はいわゆる大手メーカーの豆を使っていました。おなじコーヒー豆でもそれらはまさに「似て非なるモノ」です。「七福」のコーヒー豆は決して安価ではないのですが、お金を出すに値する深みがあります。マスターの人柄も表れているんじゃないかと思います。また、聞けばマスターはコーヒーについてすごく勉強しているそうです。

 建築も同じなんだと思います。設計者が普段いかに勉強して、より豊かな空間を創造出来るかが大事なことだなんだと思います。そしてその空間には何よりも設計者の人柄が表れているんだと思います。その結果出来る空間は大手メーカーの造るモノとは違う深みを持っているんだと思います。

僕も建築が大好きです。だからより深みのある空間を皆さんにご提案出来るように、常日頃勉強しています。そして何よりも深みのある人間になれるよう心掛なければ・・・。

僕の設計する建築に対してお施主さんが「こだわり」を持っていただけると最高ですね。

「感じる」こと

 僕がいつも気を付けているのは、「感じる」ことです。普段見慣れているはずの街を歩いていても、なんとなく綺麗だなぁと思うことがあります。その時たまたまそう感じるのですが、その後同じ場所を通ってもやはり綺麗だなと感じる様になります。「発見」に近いものがあります。

サッカーやいろんなスポーツでも「感じる」ことはすごく重要なことらしいです。良い選手は何がベストかを瞬時に感じ取りそれを実行してスーパープレーを生み出すんだそうです。

建築の設計でもそれはすごく重要だと思うんです。まず、施主さんと会って人柄を感じる。そして敷地を見て何かを感じる(何を感じるかはケースバイケースです)。そこからその施主さんのためのその敷地に建つオリジナリティ(個性)のある空間の設計が始まるんです。もちろんその上に技術とかを積み上げていくことも必要です。良い空間が出来るかどうかという出発点は、その時にいかに素晴らしいことを感じて発見できるかどうかだと思うんです。鋭い感性をも持つ建築家になりたいものです。

バーベキュー大会

 高校時代の野球部仲間とと毎年恒例のバーベキュー大会をやりました。普段スイッチ一つで何でも出来てしまう生活をしていると炭をおこして調理をするというのはすごく贅沢な気がします。実際に電気やガスで焼くより格段に美味しいし。炭火焼きの子持ちししゃもは最高ですよ。

それから僕の得意技はダッヂオーブン!   といっても火加減係ですが(注:でもダッヂオーブンはそこがすべてを決めるんです)。パンやピザを焼きます。特にピザは好評です。生地がカリッとしてて絶品です。

話は戻って、炭をおこして調理をするというのは昔は当たり前だったんですよね。お釜で炊いたご飯なんて最高なんでしょうね。手間がかかるし危険だからやめちゃったんですよね。家事がたいへんだからみんな電気釜やガス釜になったんですよね。

建築も同じなんですよね。新建材が出てきて左官屋さんの仕事が無くなった。時間とコストがかかるというのが最大の理由だったらしいです。手間がかかっても左官仕上げの方が暖かみもあるしすごく良い仕上げだと思うんだけどな。左官材の持つ質感とかアジとかは評価の対象にならなかったのでしょうか。

でも、今は健康素材としてケイソウ土や漆喰などが再び脚光を浴びていることは嬉しい限りです。

最近、大量生産・大量消費の問題点が浮き彫りになってきている様な気がします。みんなが本当に良いと思うモノを選べる時代が来るとよいです。