写真家の牧野さんとお話ししていて牧野さんが看板の色について語っていました。日本の街には原色の看板が氾濫している。これらがどれだけ町並みを害しているか。高速道路のインター付近には看板どころか建物までピンクや黄色のものがあふれている。というお話しでした。

 目立てばいいのだろうか?町並みに関する条例が無い限り、法律に違反しているわけではない。でも、景観をダメにするモノのうちの1つには変わりない。これらが人間に対する悪影響は必ずあると思うんですが。だって綺麗な景色を見たときに人間は感動して良い影響を受けますよね。その逆に気分の悪いモノを見続ければ精神的にすさんでしまうと思いません?看板も時には必要だけれど、ただ単に目立てばいいという安易な考えはいかがなものでしょうか。高山などの保護された古い町並みのどんなに繊細なことでしょうか(細かい異見はありますが)。やはり法で縛らなければならないのでしょうか。個々のモラルに依るのが一番だと思うのですが・・・。不満や疑問ばかりで答えがないです。なんとかしたいモノです。

オープンハウス終了

 「岐南町の家」のオープンハウスが無事終了しました。どれくらいの人に来ていただけるかとても不安でしたが、朝早くから夕方まで人がとぎれることなくたくさんの方々に見ていただきました。また遠方よりお越しいただいた方もいらっしゃいました。誠にありがとうございました。

 もう少しで工事も終了です。完成が近づき嬉しいという思いの反面、手をかけた家が自分の手を放れてしまう寂しさも少しあります。なにはともあれ、この家で楽しく生活をしていただけるのが一番です。風通しの良い気持ちのいい家になったと思います。

オープンハウス

 現在工事を進めている「岐南町の家」がもうすぐ完成します。施主さんのご好意によりオープンハウス(見学会)を行うことになりました。興味のある方はE-mail又は電話にてご連絡下さい。詳しい場所をご案内させていただきます。

カニ

 今日ヤマダさんにカニをいただきました。しかも活きた「越前がに」。夢にまで見た黄色いタグ(=越前港で揚がったカニに付くブランドの証です)がしっかりついてました。僕にとっては、超高級品です。これをカニコロにするのはもったいない。NHKの「ためしてガッテン」のカニ特集で(またTVネタですみません)茹でガニが一番おいしいっていってました。だから茹でガニにしていただきました。滅茶苦茶おいしいです。みそなんか滅茶苦茶つまってるんですよ。しかも甘い。これ食べたら瓶詰めのカニみそなんて食べられません。また一つ本物を知ってしまった。ヤマダさん、ごちそうさまでした。

大工工事

 今、岐南町で住宅の工事を進めています。大工は若いアライさんです。今日はちょっと現場で大工さんの手伝い(実は邪魔)をしてきました。ノミを使って穴彫りりを手伝わせていただきました。私の父は大工なので小学生の時からノミを使っていました。だから結構自信あったんです。でも、やっぱりダメです。餅は餅屋ですね。僕が1つ彫る間に大工さんは5つぐらい彫ってました。大工さんに「でも鈴木さんはサラブレッドだからね」といってからかわれました。アライさんは手間を惜しまず、丁寧に一生懸命やってくれます。いい家が出来そうです。

からくり人形

 ものすごい筆無精ですね。日記が月一回のペースになってます。一般的にホームページを更新しない理由の第一が「最近忙しくて・・・」というのなんだろうけど、僕も皆さん聞かれるとついそう答えています。でもただの怠慢なんですよね。だって「白い巨塔」見てる暇あるんだから・・・。実は他にも結構テレビ見てます。と反省しつつ久しぶりにキーボードたたいてます。

 先日、テレビ見てたら(やっぱり!!!)、からくり人形の番組やってました。矢を放つ人形や、茶運び人形とかの仕組みを紹介してました。すごい楽しい発想がいっぱい詰まってるんですね。多くのからくり人形がエンジンのカムのような仕組みで動いているんです(カムとは・・・難しいので説明省きます)。カムの形状を色々工夫して多彩な動きを作りだしているんです。おそらく相当な試行錯誤してるんですよね。作った人の情熱がすごく伝わってきました。多くの日本人が海外ブランドがどうだこうだいってるけれど、日本人の創意工夫能力はすごいものだと改めて感心しました。もっと日本のモノに目を向けたら良いのに・・・。手の掛かった本物は、すごく繊細で気配りされた物が多いですよね。漆器とか着物とか、もちろん海外の物もそれなりの良さもあるんだけれど。

 からくり人形はすごく勉強になりました。ものづくりには共通している部分があるんですよね。最初の発想があって、一つ一つ工夫を重ねて造り上げていく。建築も同じで最初のイメージ(発想)があって、図面の段階でいろんな工夫をして納めます。でもって、現場で実際に造る場面になっても大工さんなど、いろんな職人さんの意見や経験を取り入れて更に工夫を重ねます。そうすることで、密度を上げていくんですよね。少しずつ良いモノになります。

 その番組みてて、改めてル・コルビジェの「住宅は住むための機械である」という言葉の重みを感じました。住宅は、ただの箱じゃなくて、いろんな工夫を詰め込んだ精密機械のようなものなんです。

カニコロ

 私、実は料理好きなんです。蟹が安く売っていたので、料理本を見ながらカニクリームコロッケを作ってみました。洋食屋さんで食べると何でこんな少しなのにこんなに高いんだと思っていました。「松丈(マツジョウ:豊田市にあるコロッケ屋=おいしいです)のチキンコロッケなんて1個80円だぞ!!」って思ってました。作ってみて理由が分かりました。手間がかかる。面倒です。何度にも分けて牛乳加えたり、冷蔵庫で寝かせたり。あのおいしさを出すには手間がかかっているんですね。でも少しがっかりだったのがカニコロのあのクリームの正体が小麦粉だった事です。

うれしかったこと

 旅行から帰って来てからというもの仕事が山積みで日記をかくのをついついサボってしまいました。今日はどうしても書きたくなるような嬉しい事がありましたので久しぶりに書きます。

 今日、「中庭のある家」に久しぶりにお邪魔しました。到着後早速外周を一回り。植栽や外観も特に問題は無く一安心でした。そして中へ。とってもスッキリと整頓されていて素晴らしいの一言です。収納の量やキッチンの使い勝手には特に気を遣って設計するものの、実際に住んでいると荷物がどんどん増えてしまうものです。収納も十分に足りているとのこと。綺麗に掃除されていてとても気持ちのいいお宅でした。キッチンも満足していただいている様子でした。お茶をいただいて(紅茶がうまかった)雑談をしていると、洗濯物は中庭のテラスに干されているそうです。これは、設計時の想定外でしたが、確かにそこでも良いですね。その他にも私が設計時に想定したものとは違ういろいろな工夫されていて、生活を楽しんでいただいているご様子でした。自分の設計した住宅で生活を楽しんでいただいているご様子でとても幸せな気分でした。設計者が使い方を固定してしまうのではなく、ふくらみのある、いろんな可能性のある空間造りをする。そういうのがいいんだなぁ。

生活の仕方やものの考え方いろんな面で勉強させていただきました。ありがとう。

旅行

 しばらくの間お休みをいただいて、フランス・スイスの建築を見に行ってきました。ただでさえ設計が遅れがちなのに、設計をお待ちいただいている皆さんには本当にご迷惑をおかけします。この場を借りてお詫びいたします。

 ヨーロッパには見たい建物がいっぱいあるのですが、今回はル・コルビジェ(注1)とピーター・ズントー(注2)に絞って11の建物を見てきました。どの建物も期待を裏切らない素晴らしい建物ばかりでした。

 特に、コルビジェの住宅には細かな工夫や気遣いがされていることに驚きました。コルビジェの建築は世界中で研究されていて、その形については数多くの書物が出版されています。だからその空間が視覚的に魅力的な建築であることは分かっていました。雑誌に取り上げられる日本の住宅の中には視覚的に小綺麗でも、キッチンが使いにくかったり、通風が出来なかったりと、住宅としての基本機能が満たされていないのではと思うことがよくあるのですが、コルビジェは違いました。「なるほど」と思わずうなってしまうような工夫が随所にしてあるのです。暗くなりそうな所には効果的なトップライトがあったり、きちんと通風用の開口があけてあったり。そういう基本機能を十分すぎるほど満たした上で詩情的な空間を造り上げているのです。これは、僕が普段気をつけていたことでもあったんですが、コルビジェの住宅はそれらがすごく高いレベルでまとめられていました。

また、この部分はどうしてこうしたんだろうかという所には、ちゃんと回答が用意されているのです。少し変わった納まりをしている部分には必ず機能的理由がある。結果としてその部分が見た目にも綺麗だったりしているのです。単純に綺麗だからそうしましたというのだと、設計者の主観だから僕たちには理解できないのです。でも、コルビジェの場合、機能と形が密接に結びついているから、よく観察すると回答が見つかるんです。なんだかコルビジェと話をしているようで見ていて楽しくなりました。

そういうちょっとした工夫のある家って楽しいですよね。

  • 注1:Le Corbusier(1887-1965)スイス生まれ。近代建築の巨匠といわれている。ロンシャンの教会など。キュビスムの画家としても有名。
  • 注2:Peter Zumthor(1943-)スイス生まれ。

ミツロウ

 先日完成したテーブルにもう一度ミツロウを塗りました。完成した時にも塗ったんだけれど、まだ膜が出来ていないのですぐにカサカサ肌になってしまうのです。本当は米ぬかの入った袋で毎日こつこつと磨くとすごく堅牢な膜が出来る(床や柱も効果的です)んだけれど、毎日こつこつとということの苦手な僕はついつい忘れてしまいます。だから気づいたときにこうして一気にミツロウを塗ります。だから最初のうちは頻繁に塗ります。全体に薄く塗ると、ほんの少し色が濃くなってしっとりとした感じになり、再び水をはじくようになります。そのうちにしっかりとした膜が出来るので塗る頻度も減らすことが出来るようになります。

でも天然のワックスですので永久に持つわけではなく、少なくとも半年に一度は塗らないといけないでしょう。家具を手入れすると生き返った様になります。それがすごく嬉しくて楽しいんです。住宅も一緒で、天然素材でできたものは手入れをしなければどんどん痛みます。でもこまめに、手入れをすればどんどんいい「アジ」が出てきますし、愛着もわきます。手間はかかるけど楽しみでもあります。出来上がった時が最も綺麗にみえる新建材ではこの楽しみは絶対に味わえません。皆さん本物の材料で本物の家を造りましょう。